やっぱりやーめた

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 時期的には十一月中旬。周囲は文化祭の出し物の準備をしている時の話です。私達のクラスはお化け屋敷をしようということになって、定められていたギリギリの下校時刻まで準備をしていました。学生生活も最後でしたから、こだわってたんですよ。  Kさんは違いました。元々文化祭参加反対派だったのもありますが、どこのグループにも元友人がいるので入るのが癪だったんです。だから部活をしようと部室に行っても、追い込みの時期な所為か誰もいません。つまらない、そう言って帰ろうと踵を返した時、いたんですよ。彼女に話しかける強者が。 「なにしてるの」  Kさんが振り返ると私服の少年がいました。ですが初めて見る顔で誰だかわかりません。更に言えばこの学校の生徒よりも年下なのは見るだけで明らかで、どう考えてもここにいてはいけない子です。どこの誰が連れてきたんだか……面倒ではありましたが先生に報告必要があるし、もしかしたらまだ推薦枠あるかもしれないしね、とKさんは返事をすることにした訳です。 「関係ないでしょ。あんたこそどこの子よ」 「ここ」  少年は体育館の床を指差しました。屁理屈をこねるのは好きですが、こねられるのは大嫌いです。Kさんは続けました。 「バカじゃないの、ここに住んでるの? 後幽霊とかふざけたこと言ったら、床下に放り込むからね」  大人げないですが機嫌も悪かったのでムキになっていました。少年は泣きそうな顔で床を見ています。さすがに言い過ぎたかしら……と思った彼女に、少年はどうしたと思います?
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