特別な水曜日に。

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「えっと……?」  美咲が、俺と紀香を交互に見る。 「いや、あのね、美咲……」 「きょうちゃん、この人だぁれ?」 「きょうちゃん……?」  美咲が、すかさず俺を睨む。 「恭平(きょうへい)、説明して」  俺はそろっとソファーから降りて、美咲の前で滑らかに土下座をした。 「すまない……」  頭を床につける。 「いや、そういうのいいから」  バッサリ。  気持ちのよいくらいバッサリ。  俺は……美咲のそんなところが好きだ。  言いたいことを、遠慮なく、ありのまま言ってくれるようなそんなところが……  だが、いまは置いとこう。  俺はゆっくり頭を上げて、様子を伺いながら話した。 「あの……別に美咲の思っているようなことは……」  ドカッ。  美咲は、そばにあったゴミ箱を蹴飛ばした。 「説明しろよ、カス」  殺伐……  その言葉がしっくりくるような空気だった。
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