特別な水曜日に。

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「人の男とっておいて……なによ、その態度はっ!」  俺は、今にも殴りかかりそうな美咲を必死に押さえた。 「離せよ! あの女一発殴らせろ!」  美咲は、必死にしがみついている俺を上からボカボカと殴った。  グーで。  帰りたい……俺の家はここだからどうしようもないけど…… 「まぁまぁ、そんなカリカリなさらず。お肌に悪いよ?」  火に油をぶっかける紀香。 「そのぉ……美咲ちゃんだっけ?」  紀香は、そのふっくらとした頬に右手を当て、もう片方の手で美咲を指差した。  相変わらずかわい……  ムギューーっ!!  ……!!  美咲は、怒りや恨みといった感情のすべてを右手に注いだ。俺の頭は、美咲の右手の中にあった。 「美咲、落ち着け……! 割れる……」  美咲は、女とは思えないような力で俺を払いのけた。  そういう勇ましいところもまた……  ボカッ!!
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