特別な水曜日に。

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(2)  まさか美咲に後ろ蹴りされるとは……  鼻を押さえていたティッシュを静かに外す。痛みはあるが、血は止まったらしい。  俺は、部屋の外を出て、住宅街を小走りしていた。なんでも、紀香にいい考えがあるというので……  正直、嫌な予感もした。だが、紀香は天然に見えて頭がいいところもあった。  俺には、あの状況を好転させるようなアイディアもなかったし、もし何か考えがあるなら(すが)りたかった。  それに…… 「きょうちゃん! 私に任せて!」  あの笑顔には逆らえない。俺は、紀香の言葉を信じた。  しばらく部屋を出てほしいとのことだったので、近くのコンビニで時間を潰していたのだが、先ほど紀香から連絡が入り、俺は家路を急いでいた。  どうか何も起こっていませんように……
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