白き行進(最恐百物語コンテスト作品)

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この話は 私が 幼き頃 まだ保育園に通う前の出来事だったと思います。 その日 私は 夏風邪をひいて 家で一日中 寝ていました。 まあ 昼間も寝ていたので 夜になって ふと目が覚めたのだが まだ 熱があって 仰向けで寝ていても 何か 天井がくるくる回るような 嫌な感じが残っていましたね 両隣には 父と母が寝ていたのだが その夜中の何時頃かはわからないが 何かが歩いているような不思議な気配が 部屋の中でしたんですよね そして  ちゃりん   ちゃりん っと 重い感じの鈴の音のような物音が 聞こえてきたのだが まあ 自分としては 熱があるから なんか 幻聴と言うか 悪夢かなんかかと あまり気にもしなかったのですが やはり 天井から ぶら下がっている 電気の傘に 何かがぶつかってるのか? ゆらゆらと揺れているんですよ 地震?とかなら 布団を敷いてる床も揺れるはずが 揺れてないし まあ それでも 熱のせいかな?なんて思ってたんですよね そうしたら 白い紙で出来たような着物を着た人が 何人も何人も 丁度 天井の電灯の傘が 頭にぶつかるように 宙を歩いては 部屋の中を 北西にあるお風呂場の法へ歩いて行くんですよ これは さすがに おかしいなと思うも  別に 怖い感じの人たちではなくて 若者から老人 そして男女 子供まで  行進するように 何人も何人も 続いて歩いて行くのを見ては ちゃりん ちゃりん っと 相変わらず 重い感じの鈴の音は 聞こえていましたが なんだか いつのまにか寝てしまったようで その晩は明けては 熱も下がったらしくて 起きられるようになってたんですよね さて  その数日後のことですが 確か 日曜日で 両親に姉も揃って 朝ごはんを 食べながら テレビを見ていたんですよね そこでは 四国の巡礼の映像が流れていて それを見た幼い私が 急に 「じゅんれいにごほうしゃって言うんだよね それで ちゃりんって 鈴が着いた杖を鳴らしてさ」っと 言い出したそうなんですよ 「巡礼に御報謝」そして 鈴の着いた杖=金剛杖 そうですね 保育園にも行ってない子供がそんなもの知ってるわけがないんですよね
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