Trust

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あれからあの場所へは行っていないが、あの行為はずっと続いていた筈だ。 俺と優希の関係は変わらなかった。 むしろ一層距離は近付いたのではないだろうか。 優希からの接触が増えたし、クラスメイトからも「お前達付き合ってんの?」と言われたくらいだ。 俺の勘違いではないと思う。 優希を異常者たらしめた一人であるというのに、何を考えているんだろうと激しく自己嫌悪したのを覚えている。  そうして俺達は高校を卒業する。 俺は運よくそこそこ大手の雑誌出版社に就職となった。 優希も進路は就職を選択し、地方の銀行に就職した。 もしかすると、自分を知る人のいない場所で生きたかったのかもしれない。 「んー、強いて言うなら人混みとか無さそうなとこがいいなって」 それとなく優希に聞いてみたら、想定したよりも普通の回答が返ってきた。 「私と会えなくなるの、寂しいんだ?」 俺より一歩前に進み、俺の顔を覗き込むようにして優希は言った。 「……いや、別に」 漸く解放される。 お互い、そっちの方が認識としては正しいのではないか。 答えると、おりゃあ、と声をあげて俺の髪をぐしゃぐしゃにしてくる。 声を挙げ振り払おうとすると、「私はちょっと寂しいけどね」と小さい声が聞こえた。
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