五家恩学院の校則

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ずんずんと近づいてきた彼は、凛より頭一つ以上背の高いがっしりとした人だった。眉根を寄せてすごい剣幕で怒鳴られ、怯んでいる凛をよそに、彼は凛の腕を掴むと強引にどこかへ引っ張っていった。 「だからって連れてきちゃ余計にダメでしょ。自分から秘密バラシに来ちゃってるし」 「ヴ……だって、どうすりゃいいかわかんねぇし。そのまま返してもいいもんか確認しようと思ってだなぁ」 「……」 有無を言わさず連れてこられたのは、コートより少し先にあった大きめの寮のような場所だった。中に入るとすぐにウッド調の広いリビングがあって今はそこで数人に囲まれている。口を出せる雰囲気ではないので、見ず知らずの上級生達の会話を黙って聞いている。どうやらいけない事をしてしまって、罰されるかもしれないと言うことは凛にもなんとなく分かった。 このまま折檻部屋行きか?と不安に掌を握りしめた時、奥で本を読んでいた人が立ち上がって来た。
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