五家恩学院の校則

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そう、五家恩学院とはその名の通り、多大な出資と貢献をした五家の恩で創設された学院。その規模は周辺地域では最大で、中学から大学まで完備されている。明治ごろに建てられた校舎は昔の擬洋風建築のままの姿を残しながらも改装されたりしている。レトロモダンな雰囲気も人気の一つだ。 ホームルームも終わり、長い長い一日が終わった。これからの学院生活に期待半分、不安半分とまだまだ複雑だった。 教室で菜穂と別れた凛は、校舎を散歩がてら見てみることにした。 音楽室、美術室、技術室……体育館はちらっと横目に、上階からざっくり見て回った。 「さすが、広過ぎて迷子になるかと思った……」 ふと窓の外が視界に入ると、自然と足がそちらに向いた。 「きれーーい!」 そこには広いガーデンがあった。とても整理されており、色とりどりの春の花が美しく咲き誇っていた。そこはまさに緑の癒しの空間で、夕方の部活動の喧騒も気にならないほどだった。校舎を離れて、歩みを進めていく。花でいっぱいのアーチをくぐり、水の湧き出る噴水を見つけ、凛は夢中になっていた。初日でこんな秘密の花園を見つけてしまうなんて、なんて運がいいんだろうかと胸躍らせていた。 そして見つけたのはさらに神秘的な場所だった。 「すごい。ここはバラ園なんだ……」 綺麗に区画され、たくさんの種類、色が植えられており、見渡す限りのバラ達が芸術品のように咲き乱れている。それはまさに圧巻の一言。息をするのも忘れるほど、見渡す限りの美しい光景に凛は立ち尽くした。     
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