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僕は兄弟がいない長男としてこの家に生まれ、結婚して別の家に住んでいる。
僕の父は、昭和1桁生れの厳格な人で、いわゆる頑固おやじだ。
母は父のいいなりで、父に尽くすけなげな妻といった感じで、まるで昭和の時代を象徴するような夫婦だ。
僕にとって両親は、はたして仲が良いのか悪いのか、よくわからない夫婦だった。
特に、母は父によく怒鳴られていて、母はこんな夫を持って人生楽しいのだろうかと思わずにいられない感じがした。
会社員だった父が定年退職して父が自宅で過ごす時間が長くなると、当然のことながら母は気が休まる時間がないのではないかと思うほどだ。
ある日、母が携帯電話がほしいと言い出したので、僕は母と一緒に携帯電話ショップに行って、新機種の購入手続きをした。
母は機械に弱くて、なかなか使い方をマスターできなかったけれど、僕は電話の受け方、電話の掛け方、メールの受信、メールの送信の4つの操作方法だけでも覚えてもらおうと、母に操作手順を書いたメモを手渡した。
母は、僕が書いた操作手順のメモを見ながら練習して、時間はかかったけれど何とか最低限の4つの操作方法をマスターすることができた。
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