父と母

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病室にいると、僕は看護師さんから病院内の相談室に行くように告げられた。 相談室に入ると相談員がいて、今後の父の事について話し合いが行われた。 父は、終末期を迎えることになり、このような患者を受け入れる療養病院に移す必要があると伝えられた。 入院費等の経済的なことも考えると、僕自身も病院を移したほうが良いと感じた。 療養病院では、無理な延命処置はせずに、できるだけ本人が苦しまないような配慮をするという話だった。 すなわち抗癌剤等の薬は使わずに、痛みがあるようだったら痛み止めを使う、熱が高いようだったら解熱剤を使うという最低限の処置を行うという話だった。 僕は、病院移転の手続きを行い、父を療養病院に移した。 仕事を持っている僕は、毎日病院に通うのは辛いため母に、 「できる限り毎日、父のために病院に通ってほしい。」 とお願いした。 この日から、母は父の病院に毎日通って、父の身の回りの世話をした。 僕は週末の休みと時々有給休暇を取って、父親の病院に足を運んだ。
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