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翌日お通夜となり、その翌日が葬儀となった。
僕と母は家族葬にしようと考えていて、近所の組合長さんに話をしたら、それは許してもらえなかった。
近所の皆さんもお通夜に出たいと言われていると組合長さんから告げられた。
無理にお断りするのも申し訳ないと思い、僕は近所の皆さんの気持ちを受け入れることにした。
通夜になると、親戚と近所の皆さんが参列してくれて、予想外に参列者の数が多くなった。
通夜の最中、参列者の中には涙を流している近所の人もいて、父のために涙を流しているのは少し疑問を感じた。
通夜の後、涙を流していた近所の人のことを母に聞くと、隣に住む若い奥さんで、父がその夫婦を息子と娘のように接していて、畑で作った野菜をおすそ分けしていたという話だった。
僕は、父の意外な一面を知った。
葬儀では、父の遺体を火葬したが、お棺の中に園芸の本や、思い出の家族の写真を一緒に入れた。
これで父は、天国で家族の写真を見て楽しんだり、畑を耕したりできるだろうと思った。
葬儀が無事終わると、母は独りでぼーっと過ごすことが多くなった。
昼間は、テレビを見ることもなく、何か考え事をしているようだった。
夜は、暗くして寝るのが不安なようで、薄暗い電気を点けたまま寝るようになった。
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