もう一度、木曜日へ。

10/11
前へ
/14ページ
次へ
ドキドキするっていうのは、たぶんいまの気持ちを言うんだろうな……なんて、私は考えていた。 「おお……いよいよか……」 神様もなぜか緊張していた。 「高橋ー!!」 数メートル先にいる田中くんは叫んだ。 こちらに手を振っている。 「田中くーん! 今からそっち行くねー!」 私も叫んだ。 そして、手を振った。 私は、手を振りながら神様に呟いた。 「田中くんってさ……下手くそなんだよね」 「え……?」 私は、向こうにいる田中くんを見つめながら続けた。 「自分の気持ちをありのまま表現するのが……下手くそすぎるんだよ。でも、今日私に伝えてくれるんだよね……自分の気持ちを」 今度は、神様の目を見て言った。 「神様、私ちゃんと聞くよ。田中くんの告白」 神様は、ポカンとした顔で私を見ていた。 私は、そんな間抜け顔の神様に一礼し、田中くんに向かって走り出そうとした。 「あ、待って!」 神様は、私を引き留めた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加