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ドキドキするっていうのは、たぶんいまの気持ちを言うんだろうな……なんて、私は考えていた。
「おお……いよいよか……」
神様もなぜか緊張していた。
「高橋ー!!」
数メートル先にいる田中くんは叫んだ。
こちらに手を振っている。
「田中くーん! 今からそっち行くねー!」
私も叫んだ。
そして、手を振った。
私は、手を振りながら神様に呟いた。
「田中くんってさ……下手くそなんだよね」
「え……?」
私は、向こうにいる田中くんを見つめながら続けた。
「自分の気持ちをありのまま表現するのが……下手くそすぎるんだよ。でも、今日私に伝えてくれるんだよね……自分の気持ちを」
今度は、神様の目を見て言った。
「神様、私ちゃんと聞くよ。田中くんの告白」
神様は、ポカンとした顔で私を見ていた。
私は、そんな間抜け顔の神様に一礼し、田中くんに向かって走り出そうとした。
「あ、待って!」
神様は、私を引き留めた。
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