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「友、おまえ、高校生だろ。ビールなんか飲むんじゃない」
「クリスマス・イブなんだから、特別だよ」
友一がそう言って、飲み掛けのビールへ手を伸ばそうとすると、先に剣上の手がそれをさらいとった。
「だめだ。おまえな、オレはおまえの担任なんだぞ。生徒の飲酒を黙って見ているわけにはいかないだろ」
「えー? だって、あとでどっちみちシャンパン飲むんでしょ? 夕食のとき」
「まさか。生徒にアルコールを飲ませる教師がどこにいる。おまえが飲むのはシャンパンじゃなくてシャンメリーだ」
「えー?」
シャンメリー、アルコールが入っていない炭酸飲料。あんなの子供の飲み物だ。
友一はプクッと頬を膨らませて拗ねた。
恋人同士でイブを過ごすなら、シャンパンは不可欠じゃないか。
「なんて顔してるんだ、友。まあ、おまえはふくれっ面もかわいいけどな」
剣上は笑いながら、友一の頬をつついた。
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