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「良太は知らなかっただろうけど、オレ、一年の初めの頃、一人の生徒からひどい嫌がらせを受けててさ」
「友!」
剣上が話をやめさせようとした。
「もう大丈夫だから。オレは。先生」
優しい恋人へ、友一は穏やかに微笑んで見せてから、話を続けた。
「いっときは死のうとまで思い詰めた。……けど、そんなオレを支えてくれたのが、先生だったんだよ……」
友一の話を聞いて、良太はかなり狼狽えたようだ。
「うそだろ? おまえが嫌がらせを受けてたなんて。誰にだよ?」
「……そこまで言う必要はないと思うけど。とにかくオレは先生に救われて、それからあっという間に恋に落ちて、先生が好きでたまらなくて……誘惑したんだ」
「友、もうそれくらいにしておけ」
剣上が友一の肩を優しく撫でる。
「うん」
彼に微笑みで応えてから、友一は良太を見た。
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