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⑧唯一無二の人
.「先生って、意外とヤキモチ焼きだよねー」
「そういうこと言うか? それに友だって相当なヤキモチ焼きだろ?」
剣上に指摘され、ここは素直に認めることにした。
「……うん。先生がオレ以外の誰かを見るのなんて、絶対に嫌だもん」
そう言って、友一は剣上の背中に両腕を回してすがりついた。
剣上は友一の頭を優しく撫でてくれながら、囁く。
「今夜、マンションへ来いよ、友」
「明日も学校があるんだよ……?」
「手加減するからさ」
「そんなこと言って、手加減してくれたことなんて、ほとんどないじゃん」
「その代わり数学の個人レッスンしてやってるだろ?」
「……なんか話、すり替わってない?」
「そうか?」
剣上は切れ長の瞳を優しく微笑ませて、
「先に車で待ってろ。すぐに行くから」
車のキーを友一に差し出す。
「うん」
友一は微笑みを返すと、キーを受け取った。
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