① 二人のクリスマス・イブ

8/8
前へ
/52ページ
次へ
 子供だなんて言われて、また友一の拗ねる気持ちが復活した。  プクッとふくれて、大きな瞳で剣上をにらむ。 「その子供に誘惑されて、手を出したのはどこの誰ですか? 先生?」  すると剣上はなんとも複雑そうな表情をした。 「それは……、おまえは学校の王子様だからな。早くオレのものにしちゃわなきゃ、他の誰かにかっさらわれる危機感があったから……」  クールなイメージの彼にそんなことを言われたら、友一の拗ねた気持ちなど、はるか彼方へと吹っ飛んでしまう。  友一は剣上のセクシーな首筋に唇を押し付け、キスマークをつけると、 「女子生徒の人気の的のモテモテ教師は、オレだけのものだからね」  そんなふうに宣言してみせた。 「友……」  剣上は破顔すると、友一の体を軽々と抱き上げた。 「わ。先生」  彼は友一をお姫様抱きにしたまま、ベッドへ向かう。 「まだ夕食には早いから……、友……」 「先生……」  友一はそっとベッドへ降ろされ、剣上が伸し掛かってくる。  今一度深い口づけを交わしながら、彼の手が友一のバスローブの紐を解き、ゆっくりと脱がせていく。     二人きりで過ごす初めてのクリスマス・イブ。  甘い、甘いその時間はまだ始まったばかりだった。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

108人が本棚に入れています
本棚に追加