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「大統領に近しい人間の居場所がわかった」
店内が水を打ったように静まり返った。バラエティ番組の再放送のざわめきが、静かにスピーカーから流れている。インデックスを取り囲む面々に、緊張が走った。ポレックスの視線はインデックスの口元に集中し、ミニムスは目を閉じて耳を澄ませた。メディウスは何か考え込むように、眉間に皺を寄せていた。
アーヌラーリウスも耳を聳たせ、インデックスの第一声を待った。
インデックスがコーヒーを一口啜り、息を吐いた。
カップをソーサーに置く、無機質な音を合図に、彼は言った。
「そこって……」
ミニムスが怪訝に呟いた。インデックスが口にしたのは、カフェからそう遠くないスラム街だった。そこはこの辺りでは有名な風俗街で、娼婦が夜な夜な街頭に立ち、自らを売っていた。もちろん、行政の許可のない、違法な商いだ。
「要するに、娼婦を愛人にしてたってわけか」
「娼婦は娼婦でも、高級娼婦だ。凡人がおいそれと抱けるような代物じゃあない」
ポレックスの言葉に、インデックスはそう答えた。ポレックスは眉間に皺を寄せ、難しそうな貌になった。
「じゃあ、別の伝手を探そう。これ以上火の車になっちまったら、店が潰れちまう」
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