執筆の場

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 いや、小説を書くのは嫌いじゃないし、自分の意思でやっていることではありますが、あまりにも地道で、努力とか情熱とかそういったものが作品に反映される保証があまりにもない作業なので、ついつい安易な逃げ道を探してしまうのです。毎日机に向かう習慣は、子どものうちにきちんと身につけておくべきだったんだなぁと実感する日々。  そういうわけで、安い料金で長時間居座れるお店を何軒かまわる内に、いくつか僕なりのこだわりが生まれました。 「適度に人の目がある(常にお客さんがほどほどにいる)」 「自分と同じように、何かしらの作業を頑張っている人がいる」 「うるさいお客さんがそんなにいない」 「席と席の間隔が狭すぎない」  という条件に加えて、基本的には長居をするので 「きれいなトイレが店内にある」  店内にトイレがない場合は、 「会計が先払いである(食い逃げと勘違いされたくない)」  これくらいの条件を満たしていると、落ち着いて執筆することができます。この環境を台無しにする地雷客もたまにいるのですが……。  「秋の月」を書いている時はタリーズコーヒーに行きまくり、アイスティーのショートサイズをいつも頼んでいました。馬鹿の一つ覚えのようにアイスティーのショートサイズでした。僕はコーヒーを飲むとお腹を壊してしまうのです。日常的に通う場所なので、懐具合を相談した結果、値段の安いアイスティーのショートを頼みまくる変人になってしまいました。     
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