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1. 試験週間 (成瀬)
「悠里、帰れる?」
私がかばんに教科書を入れていると、
親友の橘杏子が話しかけてきた。
「うん、帰れるよ。」
私はいつもより重いカバンを抱えて席を立った。
「あー今日から試験週間かー。」
私の高校は、試験1週間前から部活が休みになる。だからもちろん私が所属してるバスケ部も休み。
朝の自主練もできない。
部活なんてやってないで勉強しろってことだよね。
だから私もいつも置いていってる教科書や資料集を全部持って帰ってみたんだけど。
「たかが1週間でなんとかならないよー。」
「たしかにねー。」
杏子も書道部がないから物足りないみたいだ。
「あ、朝比奈くんにお願いして一緒に試験勉強しよぉよ!!」
朝比奈響君は、杏子の想い人。
同じクラスのインテリイケメン、サッカー部レギュラーで生徒会副会長。
杏子は生徒会書記だから、話す機会もあっていつのまにか好きになったらしい。
「悠里、彼氏の青山と一緒に勉強したいって言えばいいじゃない。」
杏子がにやにやしながら肩をつついてきた。
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