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「で、コレ。どうすんの?」
マリクがどこからか拾ってきた、子熊にも似た謎の生き物。
テディベアのような可愛らしい見た目とは裏腹に、膨大な魔力を保有しているようで、マリク自身、思いっきり吹き飛ばされていた。
「さて、どうしたものか……」
魔法で謎の生き物(マリクいわく、ファンシーな生き物)を、結界で包み、とりあえずの安全を確保した上で呟くカミラク。
大陸屈指、おそらく世界でも指折りの魔法使いであるカミラクをもってしても、この生き物の魔力は、"ハンパない"らしい。
「少なくとも、言語魔法による意志疎通も出来ない事を鑑みるに、おそらく違う世界からやってきた、異邦の来訪者といったところか」
ーー異世界の生き物
つまるところ、何も分からない。
「なぁ、じゃあ元の世界に還してやれないのかな?」
自分の事でもあるまいに、不安げなマリク。
まぁ、確かに、この生き物を放置するわけにもいかないし、最悪、処分も含めて考えねばならない。
『モンモン』
謎の生き物が、私の物騒な思考を読み取ったのか、睨みながら妙な鳴き声をあげる。
そのたびに、結界がビシビシ軋み、悲鳴をあげる。
……どうするにしても、あまり刺激を与えてはいけないらしい。
「さて、異世界といえば、エルフのセリパの専門なんだけど……」
担いでいた斧を降ろし、腰にさしていた剣と一緒に手入れをしていたセリパを見る。
エルフは、妖精に近い種族。
そして、妖精とは、文字通り、妖しい精霊。
人を魅了し、深淵に引き摺りこむ事もある。
それは、俗に言う、神隠し。
神隠しにあった者は、違う世界に連れていかれるのだとか。
ならば、その妖精と人が太古に交わって生まれたとされる種族、エルフならばと期待をよせるが、セリパの答えは清々しい程の、予想通りの答え。
「全くわかりません!」
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