コンドライト

１

そうなのだ。

人より長い寿命を持ち、優れた魔力を持つエルフは、魔法使いが多い。
そして、次に多いのが、優れた五感と、しなやかな身体能力を活かした、アーチャーや剣士。

が、彼女は、優れた五感は持つが、魔力はあまり高くない(あくまでエルフとしては。人ならば、そこそこに分類される)

ならば、剣士やアーチャーになるのが順当なのに、身体能力がそれを阻害した。

見た目は華奢なのに、どちらかというと、不器用なセリパ。
かわりに、成人男子よりも強い力を持つセリパは、戦士の道を選んだ。

技ではなく、一撃必殺の力。

エルフとしては異端な彼女は、人の世界をさ迷い、カミラクと出合い、今に至る。

色々辛い目にもあっただろうに、常に明るく振る舞うセリパは、まるで太陽のようだと、カミラクが呟いていた事もあった。

さて、そんなセリパ最大の弱点は、"不器用"に尽きる。

魔法道具はもちろん。

生活道具ですら苦戦する。

当然、魔法を扱うなどもってのほかで、やはりというべきか、この謎の生き物を異世界に戻す知識も有していなかった。