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『モン……モン』 「で、これどうすんの?」 明らかに弱ってる風のモンモン。 その理由は分かりきっている。 「何も食べようとしないからなぁ」 困り顔のカミラク。 当然といえば当然だけど、この生き物が何を食するのか知らない私たちは、木の実やら肉やら、色々与えてみたけれど、そのどれも口にしようとしない。 「どうしよう、このままじゃコイツ……」 今にも泣きそうなマリク。 なんとかしてあげたいのは山々だけど、さすがにどうにもならない。 辛うじて口にしている水を与えるのが関の山。 しかし、連れてきて三日目、それも限界なのは明らか。 「一か八か、空間転移魔法で他の世界に飛ばしてみるか……」 「でも、カミラクの魔法だと、どこに飛ぶか分かんないだろ?」 「対象を、今いる場所から弾き飛ばす魔法だからな。 確実に違う世界に飛ぶだろうが、それが元いた世界になる可能性は低い。 時間をかければ、世界の路を繋いで送れるんだが……」 カミラクを持ってしても難解な問題。 時間がなさすぎる。 せめて、食べ物がわかれば、時間が稼げるんだけど。 「お待たせ!」 そのとき、調理場から出てきたのはセリパ。 エプロン姿とともにお盆に載せてきたのは、やわらかな甘い湯気を漂わせるスープ。 「この匂い、カボチャ?」 そういえば、この前、何かのイベントの余りだからと安く売られていたのを大量に仕入れていた。 地下室に入れて、そのままだったのを調理したのか。 「思うに、この子は食べられないんじゃなくて、食べたくなかっただけなんですよ」 そう言い放ったセリパは、モンモンを無視してテーブルの前にカボチャスープを並べる。
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