scene.4

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『用事ある。ごめん。』  そのメールに、ため息が落ちた。  昼に送って夜(今)返ってきたのは、愛想のカケラもないメール。  絵文字なんか送ってこないし、愛想がないのはいつものことだけど。 「やっぱアレが原因だよな……」 「アレ? なんの話?」 「……なんでもない」  首を傾けてハテナを浮かべている木本に返してから、携帯をポケットに仕舞う。  奥さんが里帰り中の木本に誘われて来た会社近くの焼肉屋。  後ろの大人数用のテーブルからは、送別会なのか、何度も大袈裟な「お疲れ様」が聞こえてくる。  大声で繰り返される耳障りなそれは、今の精神状態にはとてもよろしくない。
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