scene.4

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 梅雨もあけ、じめじめとした暑さが体力を奪う7月末。  一ヶ月前のあの日を境に、美亜の態度は変わった。  会社で声を掛ければ硬い声で返され、飯に誘えばさっきみたいなメールで断られ。 ……いきなり呼び出してアレじゃ、そら引くわな。  どんだけ盛ってるんだっていう話で。  玄関でのことを思い出して、またため息が出そうになった。  あの日、夜中に目が覚めたら美亜はいなかった。  まだ明るくもなってない時間で、焦って電話してみれば、何度目かで出た美亜が言った理由は、『なんとなく』。  わざわざタクシーに電話してまで夜中に帰ったのに、なんとなくって何?  その時の電話はすぐ切られたし、それからはまともに話……というか、顔すらも合わせてない。
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