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不意に健太の顔が蘇り、タバコに手を伸ばす。
カチカチと繰り返してみても、火花を飛ばすだけのライター。
それがより、苛立ちを募(つの)らせる。
「ほい」
「ありがと。てか、まだ止めてないの?」
「奥さん実家に帰ってるからねー」
借りたライターを返すと、木本もタバコに火を点けて、さも美味しそうに煙を燻(くゆ)らす。
これは、“もう止める”。
そういうことなのかもしれない。
今まで、二度目がある子がいなかったから、どう止めるものなのか知らない。
だけど、二度目を、関係の継続を求めてきた子に、自分だってそう接してきた。
今の美亜みたいに。
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