scene.4

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 不意に健太の顔が蘇り、タバコに手を伸ばす。  カチカチと繰り返してみても、火花を飛ばすだけのライター。  それがより、苛立ちを募(つの)らせる。 「ほい」 「ありがと。てか、まだ止めてないの?」 「奥さん実家に帰ってるからねー」  借りたライターを返すと、木本もタバコに火を点けて、さも美味しそうに煙を燻(くゆ)らす。  これは、“もう止める”。  そういうことなのかもしれない。  今まで、二度目がある子がいなかったから、どう止めるものなのか知らない。  だけど、二度目を、関係の継続を求めてきた子に、自分だってそう接してきた。  今の美亜みたいに。
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