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翌日、定時を過ぎ会社に戻ってくると、美亜のデスクのパソコンは電源が点いていて、まだ帰っていないようだった。
鞄を置いて、営業部を出る。
同じ階の廊下の奥、資料室の前で足を止めた。
なんとなく音を立てないようにドアを開けて、奥へ向かう。
棚から覗くと、思った通り美亜がいた。
脚立を使わずに取ろうとしているのか、背伸びをして手を伸ばしている。
「はい」
横から手を伸ばし、彼女の手が触れていたファイルを取った。
差し出すと美亜は驚いたような顔をしてから、それを受け取る。
「……ありがと」
すぐ逸らされた視線。
それに、胸が騒ぐ。
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