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「あっ、ごめ……」
しゃがんだ美亜の隣に屈む。
散らばった紙を集めながら蘇る、だいぶ前の日のこと。
――えっ、な、なんでいるんですかっ!?
その日のことを思い出して、強張っていた頬が自然と緩む。
緊張していた。
話し掛けて迷惑そうな顔されたら。
面と向かって拒否の言葉を言われたら。
今日直接話そうと決めてから、ずっとそんなことばかり考えていた。
「大分前にもこんな事あったよね? あの時は、もっと盛大だったけど」
「……うん。そうだね」
「あれはすっげー驚いた。誰もいないはずなのに、急にでっかい物音がするんだもん。
美亜って、案外悪趣味だよねー」
「ちょっ、違……っ。
勝手に始めたのはそっちでしょ!? 出て行きたくても出れなかったんだも……」
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