scene.4

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 美亜が顔を上げて、目が合った。  それだけで、嬉しくなる。 「やっと顔、見せてくれた」  自然と出たそれに、また美亜は顔を伏せてしまう。  さらりと落ちる髪を、美亜は耳に掛ける。 「……なに言ってんの? 別にわたしの顔なんて――」  美亜は途中で言葉を切った。  戻ってきた沈黙が、距離をまた戻してしまいそうで、彼女の名前を呼んだ。 「美亜?」そう呼び掛けた声は、早口になっていた。 「……なんでもない。 じゃあわたし行くね? 今日中に終わらせなきゃだから」  歩き出そうとした美亜の手首を、咄嗟に掴む。  こっちを向いてほしくて少し力を入れたのに、美亜は見ようとはしない。 「何?」 「終わったら連絡して? 迎えに来るから」 「……結構量あるし、何時に終わるかわかんないから」 「何時になってもいいから。待ってる」  断られたら、これ以上話し掛けないから。  ちゃんと理解するから。
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