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「……わかった」
少しの間のあと、美亜はそう言って俺の手を強引に解いた。
支えの失った手は膝元に落ち、すぐにドアの閉まる音がした。
無理矢理言わせたようなものだったけど、返ってきた返事に安堵が包む。
床に吐き出したため息が、無音の部屋に大きく響く。
どうしてこんなに、必死になっているのか自分でもわからなかった。
今まで関係を持った子に対して、執着なんかしたことなかった。
執着されることを、拒み続けてきた。
美亜に執着している理由。
こんな状態になっているのに、それでも、そのことについて考えようとはしなかった。
考えないようにしていた。
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