158人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
ダブルベッドの上、美亜が手繰り寄せるように俺の腕に自分の腕を絡めた。
髪にそっと触れると、より強く抱きついてくる。
ねぇ、美亜。
助けてよ、ここから。
引っ張り出してよ、円香さんから。
たまに、自分の気持ちが自分の気持ちの癖に、わからなくなるんだ。
ずっと心に居続ける円香さん。
気付いたら、もう10年も経っちゃって。
あまりにも当たり前に、ずっと居続けられちゃって。
自分でもそれが“好き”って気持ちなのかどうか、わからなくなるんだ。
もうずっと会ってないし。
写真なんかも持ってないし。
だけど、今日広斗からの電話で嫌な気になって、結婚式での二人を想像したらうわーってなって。
そうやって確かめてみると、あぁ、やっぱり俺まだ好きなんだ、って答えに辿り着く。
最初のコメントを投稿しよう!