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「陽斗君ご馳走さまです。いつもすみません」
「いーえー」
「今度、会社の近くに出来た焼き肉行きません? 次、俺出すんで」
「おー」
外に出た瞬間、じっとりとした空気が全身に纏わりつく。
不快感に眉をひそめた。
「暑いな」
少し歩くだけで、汗が吹き出す。
街灯の明かりで前に伸びた細い影を、見つめながら家路を辿る。
「陽斗君」
別れる交差点。
健太が足を止めた。
「なに?」
「いいんですよね?」
健太を見やれば、街灯に照らされた目に、挑戦的にも見える色が浮かんでいた。
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