scene.5

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「……なにが?」  聞き返した声が、少し掠れた。 “わかってるくせに”  射抜くような目が、そう言っているような気がした。 「……いえ、なんでも。じゃあ、お疲れ様でーす」  健太は笑って言うと、背を向ける。  そのまま進み、振り返ることなく角を曲がる。  その背中をただ見つめた。 「……なにがだよ」  口の中で呟く。  なんで俺に許可取るんだよ。  そんなの俺がどうこう言うことじゃない。  健太の態度に、あいつが俺と美亜との関係に気付いていることに、気付いた。  その上で、今日この話をしたことも。
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