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「……なにが?」
聞き返した声が、少し掠れた。
“わかってるくせに”
射抜くような目が、そう言っているような気がした。
「……いえ、なんでも。じゃあ、お疲れ様でーす」
健太は笑って言うと、背を向ける。
そのまま進み、振り返ることなく角を曲がる。
その背中をただ見つめた。
「……なにがだよ」
口の中で呟く。
なんで俺に許可取るんだよ。
そんなの俺がどうこう言うことじゃない。
健太の態度に、あいつが俺と美亜との関係に気付いていることに、気付いた。
その上で、今日この話をしたことも。
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