113人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
カウンターに並び、仕事の話を中心に箸を進めていく。
健太は酒に強く、ビールを何杯か飲み焼酎に変えたあとも、顔色は一向に変わらない。
睡眠不足からか酔いが少し回ってきた時、健太が突拍子なく切り出した。
「俺、今好きな子いるんですよね」
一瞬で、酔いが覚めた気がした。
どちらかと言えば聞き役に回る健太から、そういう話を聞くのは初めてだった。
「……へぇ」
嫌な予感に、無難な答え方になった。
健太は両腕をカウンターに置き、俺の表情を窺うように身を乗り出す。
「誰か気になります?」
「んー、俺知ってんの?」
「じゃなかったら、言ってないですよ」
最初のコメントを投稿しよう!