scene.5

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 カウンターに並び、仕事の話を中心に箸を進めていく。  健太は酒に強く、ビールを何杯か飲み焼酎に変えたあとも、顔色は一向に変わらない。  睡眠不足からか酔いが少し回ってきた時、健太が突拍子なく切り出した。 「俺、今好きな子いるんですよね」  一瞬で、酔いが覚めた気がした。  どちらかと言えば聞き役に回る健太から、そういう話を聞くのは初めてだった。 「……へぇ」  嫌な予感に、無難な答え方になった。  健太は両腕をカウンターに置き、俺の表情を窺うように身を乗り出す。 「誰か気になります?」 「んー、俺知ってんの?」 「じゃなかったら、言ってないですよ」
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