scene.5

9/15
113人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
 健太はその間も俺を見ていた。  健太の顔を見ることは出来なかった。 「……あるんじゃない?」  そう言った声は掠れていて、平坦でわざとらしい言い方になっていた。 「わ、まじですか? じゃあ、頑張っちゃおうかなー。難攻不落でしょうけど」 「おー」 「まぁ、難しいからこそ燃えるってことで。 落城させるためには、まず敵情視察ですよね。佐々木さんの好きなタイプとか、想像も付かないけど。……ところで、陽斗君」 「なに?」 「陽斗君は佐々木さんのこと、どう思ってます?」  健太は、少しだけ声を低くして言った。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!