scene.5《2》

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 どうして泣いてるの。  俺のことどう思ってるの。  健太は“ただの先輩”じゃないの。  落ちそうになる言葉を、何度も飲み込む。  困る美亜が見たくて、いつかに連れ込んだ資料室。  怒った顔の美亜と、交わした会話が蘇る。 ――ただの先輩の俺がさっきの奴みたいに誘ってたら、行ってた? ――絶対行ってない。  いつの間にか降り始めていた雨の音が、部屋を満たしていた。  窓を叩く雨の影が、彼女の頬に落ちては消えた。
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