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どうして泣いてるの。
俺のことどう思ってるの。
健太は“ただの先輩”じゃないの。
落ちそうになる言葉を、何度も飲み込む。
困る美亜が見たくて、いつかに連れ込んだ資料室。
怒った顔の美亜と、交わした会話が蘇る。
――ただの先輩の俺がさっきの奴みたいに誘ってたら、行ってた?
――絶対行ってない。
いつの間にか降り始めていた雨の音が、部屋を満たしていた。
窓を叩く雨の影が、彼女の頬に落ちては消えた。
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