scene.6

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 生まれたばかりの子供の名前を出すと、木本はそう言いながらも、顔を緩ませる。  出産祝いに贈ったおもちゃと一緒に映る咲良ちゃんの写真を見せてもらい、 盆休み中の咲良ちゃんとの話を聞いたのは、つい10分前のことだ。  可愛い、天使、まじやばい。  出産時の話、初めて抱いた時の話、奥さんの実家で一緒に過ごした時の話。  どの話の時も木本は同じようなことばっかり言っていたけど、そういう話を聞いていると、このどうしようもない気持ちが、少し楽になる気がした。  油断したら馬鹿みたいに溢れ返ってくる想いを、持て余してどうしようもなかった。
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