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柄にもなく熱を帯びてきた目を落ち着かせるため、タバコに火を付けた。
木本は奥さんが出産したのを機に完全に止め、たまに手持ち無沙汰な様子を見せるけど、特に吸いたそうな顔は見せていない。
吸い始めてから数年が経ち、当然のようになっている習慣。
いつから吸い始めたんだっけ。
当時を思い返してみれば、大学時代にバイトしていたバーで常連さんに二十歳の誕生日を祝ってもらい、ジッポとカートンのタバコを渡されたことだった。
二口だけ吸ったタバコを灰皿に揉み消す。
まだほとんど中身の残った箱を、ポケットへと滑らせた。
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