scene.6

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「ごめんね、ありがとう」 「いえいえ。今日も暑いですねぇ」 「そうだね」  夏川さんは笑顔を向けてくれているけど、美亜は下を向いたまま。  あの日から、またちゃんと話せない日が続いていて、もう一週間が経っていた。  何度か話しかけようとしたけど、その度に自然を装った風で避けられた。  それは大分不自然だったから、返事が来ないかもしれないと、何度も作ったメールは送ることが出来なかった。  今すぐ近くにいて俯いたままの美亜は、一度もこちらを見ようとはしない。  機械のように単調に口へと運び続ける姿は、どう見ても俺への拒否を表していて、正直キツかった。
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