scene.6

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 この状態の美亜に話しかけるのは勇気がいって、及び腰になっていた。  やっぱり止めておこうか、そんな気持ちがすぐ後ろに待機していた。  それでも、今のこのチャンスを逃したくない。  これ以上先に延ばせば、もっと話しかけづらくなるのは目に見えていた。 「あのさ、美……」  ガタン、と美亜が立ち上がった。 「……詩穂、わたし外出たいから、先行くね」 「え? 美亜、ちょっと……」 「ごめんね、お疲れさま」  美亜は夏川さんに被せるように言い、こちらを見ることなく、少し早足でカウンターへ歩いて行く。  美亜のトレーの中身は、半分ほどしか減っていなかった。  小さくなる美亜の姿を追っていた夏川さんが、こちらへ振り返る。  俺と目が合うと、気まずそうに視線を泳がせた。
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