121人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「……え、と……。あ、そういえば美亜、化粧品欲しいって言ってた、かも……」
「……そうなんだ」
夏川さんが取り繕うように引き攣った笑顔で言い、俺も笑顔で返した。
だけど、ちゃんと笑顔だったかの自信はない。
目の前にはまだ手を付けていなかった生姜焼きが、さぁ早く食えと湯気を立てていた。
食堂のおばちゃんの好意でいつも大盛りにされる白ご飯とそれは、食べたくて頼んだものだったはずなのに胸焼けを起こさせた。
とりあえず口を付けてみたものの、食べきれる気がしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!