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その時のやり取りを思い出して、ふっと口が緩む。
何気ないそのちょっとしたやりとりが、今はすごく遠い。
……なにも、ないんだな。
殺風景な目の前の洗面台には、自分のものしかない。
歯ブラシ立てには自分の分しかないし、化粧品の類いもなにも置かれていない。
寝室にも、リビングにも。
何度もここに来ているのに、美亜の痕跡は何一つ残っていない。
そして、これから増えることも。
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