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特に急ぎの仕事もないし直帰しようか。
そう思い、電話帳を開く。
下へスクロールしていくと部長に辿り着く前に、美亜の名前を見付けた。
その指が、止まる。
――会いたい。
会って、ちゃんと話したい。
美亜を思い出し、心が訴えてくるのは、そればかりだった。
だけど、今さらなにを？
こんなにも避けられていて、健太とも上手くいっているみたいなのに。
俺は、今さら好きとでも言うつもりか。
今さら、関係を一から築きたいとでも言うつもりなのか。
そのあまりの女々しさに、自嘲の笑みが落ちそうになる。
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