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しかし。翌日もその虫は居ました。同じ場所に。
私の横にいた息子が叫びました。
「ママー、あれー! 死出虫(シデムシ)ー!」
私の足元に黒い虫が数匹這い寄ってきたので思わず後ずさりました。
「あっ」
その時私は、ふと窓を見ました。
ドアの横の小窓です。
部屋はあの時と同じ、暗いままです。
しかし、もう一度よく目を凝らしてみると、その窓の黒い部分はモゾモゾと動いていました。
そう、それはまるで擦りガラスの向こうに虫がびっしりと張り付いて蠢いているような。
窓枠の隙間から必死で逃げ出そうともがき、無数の複眼がじっとこちらを見つめているような……。
後日、その部屋の住人が、年金が目当てで母親が死んだことを隠していた事が解りました。
押入れに押し込められた死体には無数のウジやキンバエ、そしてシデムシがたかっていたそうです。
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