628人が本棚に入れています
本棚に追加
やれやれと苦笑して、ジェフリーは彼に手を振りガラクタの山へと歩き出す。
棄てられた戦闘用アンドロイド達の遺骸に足を取られながら、ゆっくりあたりを散策した。
「……用無しになれば、ポイ。エコじゃないねぇ」
足元の動かないアンドロイドに話しかけてみる。当然、返事はない。
廃棄前にバッテリーは回収する決まりだから、彼等は二度と動けない。死んだのだ。
ジェフリーの仕事は、軍のメカニック――だった。今は、違う。
彼等と同じく、用無しとして解雇された。
この場の彼等が傷付けば修理し、まあ戦えるようにする。より沢山の敵を倒せるように、改良する。
それが、ジェフリーの役目だった。
この中の何処かにも、きっとジェフリーが修理したアンドロイド達が居る。ゴミとして、捨てられている。
今まで自分がしてきた事が、砂の城を作るような事だったのだと思い知った。何も残らず、ただ崩れ去り忘れさられるのだ。
「――墓参りって、好きじゃあ無いんだ。でもねぇ、僕しかいないだろうから」
そう呟いて、ジェフリーは煙草を地面に置いた。そして、手に提げていたバッグからワインの瓶と、アンドロイド用の機械油の缶を取り出す。それらも、煙草と一緒に置いておく。
感傷的になっているのは、彼等と同じく廃棄された立場だからだろう。
最初のコメントを投稿しよう!