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「いいけど、なんで?」
「アップルパイを焼こうかと。インプットされているレシピでは『アップルパイには必ず紅茶』と指定されていましたが、コーヒーしかありません」
「アップルパイ!いいねぇ、僕の好物だよ」
嬉しくなって、隣を歩く無骨な鉄の横顔を見上げてみる。無機質な機械の目と、視線がぶつかった。
感情など無いはずなのに、なんとなくだが気遣わしげにこちらの顔色を伺っているように見える。
(……もしかしてリアムは、僕を励まそうとしてくれてるのかな)
そう考えると、なんだか胸が暖かくなってきた。
近所の大型スーパー向かって、二人腕を組んだまま歩き出す。
ついさっきまでは鬱々とした気分だったが、リアムのおかげで気持ちが軽くなっていた。
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