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工業用アンドロイドとして認可を受け、本来のスペックに戻してしまえば、リアムはこういった力仕事や危険な作業は得意分野だ。
「ふふ、実はねリアム……免許取れたんだよ!義肢装具士の!さっき合格通知が来てね、嬉しくてタクシー飛ばして来たんだ!」
「そうですか」
「あれ。なんかリアクション薄いよぉ?」
「ジェフリーなら当然でしょう」
「褒めてくれないのぉ?一年ちょいで取れたんだよ?国家資格だよ?」
ジェフリーが唇を尖らせてそう言うと、リアムは手に付けていた作業用のゴム手袋を外した。そして、鉄の指先でジェフリーの頭を撫でる。
「よく頑張りました。貴方の恋人として、誇らしいです」
ついでに耳朶を軽く愛撫され、その感触についうっとりしてしまう。
この機械の恋人と出会い、一年と数ヶ月。
毎日一緒に居るというのに、飽きるどころか毎日どんどん好きになる。
今でも、こうして軽く触れられるだけで、幸せな気分になった。
「ふふ。これで僕も見習い卒業だ」
「アン様も喜ぶでしょうね」
「そうだねぇ。彼女の仕事、少しは楽にしてあげられるし」
結局ジェフリーは、アンの勤める義肢工房に勤めていた。
アンに意地を張る必要なんて、全く無いと気付いたからだ。
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