第一話 廃棄されたもの同士

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第一話 廃棄されたもの同士

「勿体無いねぇ、これ。ぜーんぶ廃棄か」 地平線の向こうまで続く、ガラクタの山。それを見渡して、ため息と共に紫煙を吐き出した。その煙は同じ色をした空へと吸い込まれて消える。 少し煙たくて、ヘーゼル色の目を細めた。 「もうこういうのは、要らなくなっちまったからな」 そう言って廃棄業者の作業員は、トラックに積んでいた廃棄物をガラクタの山に追加していく。 そういったトラックが、数台この『ゴミ処理場』に停まっていた。 足元に落ちていたガラクタの一つを拾い上げる。 それは人間の手の形に似た、鉄の塊だ。 この場に棄てられている全てが――かつては人の形をしていた。 戦闘用人型アンドロイド。 長年続いた戦争に疲労した人類は、機械にその全てを押し付けた。 つい先月、その戦争が終結するまでは。 「やだね。(ぼか)ぁね、こういうのは好かんのよ」 「ははは。戦闘用とはいえ、人間の形をしたのがバラバラになってたら、気色悪ぃよな」 「いや、そうじゃあなくて……」 「じゃ、ジェフリーさん。オレはもう行かなきゃならないから、帰りは違うトラックに乗せて貰ってくれ!悪いな!」 気さくに笑って、作業員はトラックに乗り込んだ。     
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