野間さん家の居候

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 だが、取り敢えず手元には携帯がある。先ずは警察に通報して……と、携帯の画面に指を近づけるが、身体を蝕む熱は思考まで広がりたった三桁の数字さえ曖昧にさせてしまう。そして、ついには携帯が手から落ちてしまい、熱っぽい気だるさに襲われた身体が力を失ってしまう。  呼吸がますます荒くなり、身体もだるく起き上がれない。それなのに、男の部分だけはズボンと下着を押し上げ、はち切れんばかりの状態になっていた。 「なんで……はぁ、こんな……ことに……はぁ、はぁ」  襲い来る熱が欲情に似たものだと気づき、恐怖の隙間に動揺が生まれる。熱にうなされ困惑している最中、背後に人の気配が近づき自分の物ではない腕がテーブルに伸びてきた。 「どうしましタ? 随分、苦しそうですネ」  俺の陥っている状況を理解してか、低い声が愉しそうに頭上に響く。宇宙人は眼前に突き下ろした腕とは別の腕で背中に触れてきた。服の上からでも分かる冷たさに身震いをした途端、俺の全身はエアコンから流れる冷たい風を直接肌に受けた。 「えっ……!?」  朦朧とした浮遊感に溺れ始めていた思考が、服が一瞬で消え去るという不可解な出来事に正常さを取り戻した。しかし、素肌に触れた宇宙人の指先が背筋を冷たく流れたことで、再び熱を呼び戻してしまった。 「――はぅっ」  全身が性感帯になったような痺れた感覚に身体が弓逸り、自身を覆う布から解放された男の部分が大きく跳ね上がった。 「お、……俺に、何かした……のか」  行きも絶え絶えに問えば、宇宙人はクスリと笑うだけ。そして、何も答えず、腰の辺りを擽っていた手を下腹部に移動させてきた。そこは何処よりも熱を帯び、先端からは透明の液体が涎のように溢れていた。
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