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「お外に遊びにいっていい?」
トウタはばあちゃんに訪ねた。
「いいよ、いっておいで」
家の主は基本的に彼女だ。何の許可を出すにもじいちゃんが先にこたえることはない。
「道に気をつけるんだよ。道路に飛び出しては危ないよ。知らない人についていっちゃいけないよ」
じいちゃんの役目はばあちゃんが口をすっぱくしなくていいようにすることだ。
「おやそれ付けていくのかい?今日は晴れって天気がいってたよ」
ばあちゃんはあごでトウタの頭の傘ぼうしを指した。
「だめかなあ」
トウタは傘ぼうしを下ろそうとする。
「いやいいとも。そのとしで日傘とはシャレている。ハイカラな蛮傘ぼうし、うむ。趣があるね。ほらあとぜき忘れずにいっといで気をつけるんだよ」
じいちゃんは老眼眼鏡を再びかけると、トウタをよく見て何度もうなづいた。
「いっといで」
ばあちゃんは傘ぼうしをトウタの頭にしっかりはめてやると、玄関まで見送った。
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