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30分………と言った筈なのに秋人は夕方日が暮れても帰ってこなかった、仕事は全く進まないままイライラと待ち続け、この調子だと本当に心配に殺されてしまう
ひと月も何も知らなかったなんて信じられない、知らなかった方が良かったかもしれない?
「あの馬鹿、まさか窓から帰ってきたりしないだろうな」
針金か何かで窓を固定してやろうかと思ったが外から開けろと言われそうでここは締め切りだと宣言してからにする事にした
それにしてもベッドはひとつ………
どうする?
こんな事なら勝手に手配されたエキストラベッドを置いておけば良かった
一緒になんか眠れない、初めての時よりその一線は遥かに標高が高くて簡単に越えていいものじゃない
秋人に触るどころか枕を並べて眠るだけでも怖くて仁のせいで隣に勝手に潜り込まれても気にならなくなっていたのに物凄く意識してしまう
そんな事ばかり考えていると10時を過ぎてやっとドアの向こうからドンっと音がして帰ってきた気配がした
ドアベルは鳴らないが待ち構えていた分取っ手に飛びつくと開けかけた扉は押し返され勢いが付いていた体が止まらずに顔を打ち付けてしまった
「秋人?秋人だろ?何やってんだよ遅くて心配してたんだぞ」
「………………」
「何してる、ドア開けろよ」
「…部屋の……電気消して………」
「?………どうして?秋人だろ?ドアから退けったら、早く入って来い」
「……………うん………」
声が弱い………絶対に何かあったのだ、秋人が体重をかけてもたれドアを押さえているらしいがグッと押して無理矢理開けた
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